|
この写真をご覧になって、
「はて、いったいこの逆さになったヒメゴンベのどこがなんじゃこりゃなの?」
そう思われた方は、まだまだ甘い。
ヒメゴンベが乗っているものがなんじゃこりゃ?なのである。
岩の陰部分をふと覗いてみると、そこだけビッシリとこういう風になっていたりする。上の写真だけ見ると、まるでヒメゴンベが守っているかのように見えるけれど、もちろんヒメゴンベはサイズ比較のためだけにゲスト出演してもらっているに過ぎない。
この不思議的柱状節理状物体は、いったいなんじゃこりゃ?
初めてこれを見たときの僕はそう思い、すかさず手近なひとつを手にとってみた。
手触りは固い。まるで何かのカプセルのようだ。
試しに剥き剥きしてみると………
小さな紫色の粒々がたくさん入っていた!!
本当にカプセルだったのだ。
うすうす察していたとおり、これは何かの卵だったのである。
なんの卵か。
その疑問はすぐに解決した。
別角度から覗いてみると、今まさに産卵中だったのである。

テングガイだ。
ちょっとわかりづらいから説明すると、写真の左上部分が産卵中のところ。左側の岩のようなものがテングガイで、ボクシンググローブくらいの大きさである。
テングガイは貝殻に細かく造形的な突起が多く、装飾用の貝殻として人気があるので、国際通りのお土産屋さんによく置いてあるから、ご存知の方も多いだろうと思う。
貝殻は美しいけれど貝自体は肉食で、ときおり岩肌にピタコンッと張り付いていると思ったら、実はシャコガイを食べている最中だったりする。
そうやってたらふく貝を食べるからこそ、こんなにたくさん卵を産むことができるのだろう。
ところでこのテングガイ、それほど珍しいというわけではないけれど、だからといってウジャウジャいるという貝でもない。こんなのがウジャウジャいたら、それこそシャコガイは全滅してしまうに違いない。
ところが、とある方が驚きの画像を送ってくださった。

撮影:ガキヤヒロシ氏
なんとテングガイの集団産卵シーン!!
これまで何度もテングガイの産卵シーンを見たことがあるけれど、こんなにたくさん集まってドドンと産んでいる様子なんて見たことも聞いたこともない。撮影者のガキヤヒロシ氏によると、ここには13匹ものテングガイが集まって産卵していたという。
これはある場所に実験設置中の魚礁で、魚礁の経過調査潜水中水深18mで撮影された写真である。魚礁やその素材の選定にテングガイを招きよせるという目的があったはずはなく、いったいなんでここにだけ集まっているのか、今もって判然としないらしい。
恐るべしテングガイ。
シャコガイ絶滅の日は近い?? |