忍法・砂遁の術

〜砂地の業師たち〜

 ダイバーにとってはきらびやかな楽園であっても、魚たちにとっての海中は、絶えず生きるための努力を強いられる厳しい環境である。

 そんな海で生きぬくために、魚たちは日々の努力を惜しまない。

 その結果、面白おかしき巧みな術が編み出されていった。
 砂遁の術もその一つ。
 砂中に潜み、何も知らずに近寄る小魚を襲う、という攻撃型砂遁の術の第一人者はなんといってもメガネウオだ(写真左下)。目玉、口、鰓穴だけしか露出させていないため、誰かがうっかり踏んづけたり手をついたりしない限り、なかなかその存在に気づけない。写真は顔が見えているけど、これは表面の砂をそっと掃ったため。

 砂に潜るワザそのものが芸の域に達しているのはスナゴチである(写真中)。メガネウオがワッセワッセと砂中に潜るのに対し、スナゴチは砂煙とともに体を隠す、という一瞬の早ワザの持ち主だ。

 一方、身に迫った危険を回避する「逃避型砂遁の術」の代表格はホシテンスの幼魚であろう。ホシテンスの幼魚は、もともと枯葉のフリをしているから、めったに危険が迫ることはないのだろうけど、いざというときは「アッ」という間に砂に潜ってしまう。
 ゲストにその様子を見てもらおうと、わざと砂に潜らせるべくテンスをビビらせてみるのだが、沿ういうときに限ってフラフラフラ〜と泳いで逃げていく。
 そのほか、カレイ・ヒラメ類やヤッコエイなど、魅力あふれる術者は多い。色彩こそ派手ではないものの、彼らの術は一見の価値ありだ。

ウォッチングのコツ

みんな見つからないように工夫を重ねている魚たちだから、
まずは砂遁の術を見破らなければ話が先に進まない。

攻撃型砂遁の術の持ち主たちは、餌があるところでなければ術の意味がないので、
小魚がたくさん群れている根の周りに潜んでいる。

メガネウオは偶然を待ったほうがいいが、
スナゴチだったら、
スカテンやハナダイ類が群れているような根の周りを探すと、
うっすらと輪郭が浮かんでいるので気づくことができる。


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