当サイトの、しかもこういうコーナーまでご覧になっておられる 変態的な 賢明なる読者であれば、写真の生物なんてとっくの昔にご存知のことだろう。
でも、誰もが一度は必ず思ったに違いない。
「なんじゃこりゃ?」
と………。
かくいう僕も、ダイビングを始めた当初にやたらと泳がされた米須(ジョン万ビーチ)のインリーフでその洗礼を受けた。
50mの間縄を水面に張り、それに沿って何度も何度も、時にはフィンをはずし、時にはマスクをはずし、とにかくひたすら泳いで往復しまくる。当時は日曜日の真栄田岬だって、ときおり年配の夫婦が展望台から眺めを楽しんでいる程度だったので、練習するポイントに事欠くことはなく、米須のインリーフ(今よりもっと深かった)も重要な練習ポイントだった。
で、そこで泳いでいると(というか泳がされていると)、眼下で細長い生物がトグロを巻いているではないか。
ひょっとしてあれは……。
このまま泳いでいるうちに、いきなり襲われて帰らぬ人となってしまうのではあるまいか。傍らで我々1年生が泳いでいるのをワッチしている先輩方は、この重大な危機に気づいてくれているのだろうか??
そう、僕はすっかりコイツをウミヘビと思っていたのだ。眼下にコイツを見ながら泳ぎ続けていた間、僕は生きた心地がしなかった。
その日、海からの帰りがけに先輩から聞かされた言葉は、今ではなかなか味わえなくなった生物学的衝撃だった。
「あれはナマコだよ」
え”???
あんな、1mも2mもあるようなものがナマコ??
それが、オオイカリナマコを初めて知った記念すべき日である。
その後紅顔の美少年ははからずもダイバーとしての履歴を重ね、このナマコは触るとピューッと縮むってことや、普通に潜っている分にはウミヘビはナマコと同じくらい無害な存在であることを知った。そして、増えていく知識に反比例して、面白おかしき衝撃的発見は少なくなっていった。
ゲストがコワゴワとこのナマコを指差し、すがるようなマナザシで僕を見る姿を見ては、遠い夏の日々を思い出すのだった。